Thursday, December 15, 2005

2005年12月03日◆爆問・ギリアム対談をやっと見る

うわーーーーーーーあの色紙欲しーーーーーーーーー!!

地球の穴のホラ話なんてまさにギリアム世界だよ!!バロンだ!でも鉛筆のサインだってかっこいい。しゃれてる。さすがだ。前に来日したときはアキバなんかでカウボーイハットではしゃいでいたが、今回は京都なんか行って、すっかり貫禄のなりだ。いろいろあったしね。デモ中身は、子供のまま。すばらしい!

モンティパイソンはかなり70年代英国色が強くて気持ち悪いという先入観から見なかったのだが、昔衛星でよっぴきやったことがあっていくつか録画しておいた。そして見てたまげた。面白いや。シュールとかそういうことじゃなし、古きよきコント番組でもなし、そのままで笑える。十分今でも笑える!言葉でも動きでも!

そして未だにギリアムは役者であり漫画家だった。今回のハリウッド映画(脚本はムコウから与えられ・・・だからああいうファンタジーになった)で、何故か今までと違う(?)VIP待遇の来日インタビューが多かった中、ちょっと前半編集で切りすぎだけれども、いちばん充実してたな。やっぱ太田さん読みが深いしわかりやすいよ。これで英語さえしゃべれればねえ。。映画本なんて書いたらビートくんや人志なんかとは違う観念的でざっぱくなものでない、しっかりした評論本になるんだろうね。評論家向きなのかなあ。其処は違うだろ、ということも言うけども、反論を受けて立てるくらいしっかりした論点で向かってくる、好きなことにかんしては(それ以外ははっきり分かるように流す・・・そこが爆笑問題好きか嫌いかに分かれるところで、私もボキャブラ前からファンだったけどタレントとしてはそういうところは余り好きじゃない)凄く斬り込める刀を持っている。田中さんの意外といいとこ突いて来るところにも驚いたけど、知識量が尋常じゃないな。勉強好きの青なり瓢箪、浅草キッドと反目しつつも(実はかなりの勉強家な文字通り)博士とは似たところがある。二人ともいい評論家です。悪乗りという点で博士は行き過ぎる気もするけど(嘘はいかんです、でもそれも心底お笑い芸人としての意地なんだよね)。

日本のお笑いは「笑い」を軸にこういう広がり方をしてきたのがまたいいじゃないですか。ギリアムがたじろぐくらいの勢いで、閉口したのか感心したのか定かじゃないけど評論書いてくれと真顔で言うくらいの人がお笑いタレントですよ。そのへんのうらなり瓢箪評論家や作家さんにこんな芸当できますか?英語喋れなくても笑わせて巧みに入り込んでいく。まあ、淀川さんみたいにしゃれにならないくらいの経験と知識があれば別、水野さんみたいに存在自体が強烈であっても別(まあどちらも個性(ゲイ)ですな)、でもただ売れてるとか名前が大きいとかだけで対談組んでもらってるたぐいのタレント評論家にはこんなことできないでしょ。さわりくらいしか。

伊集院さんのラジオ対談も短い時間で違った角度から切り込んでたけど(余りに理性的だったけど感性が似ているせいかギリアムを感心させていたことは確かだ。伊集院さんは英語ちょっとわかるから更に滑らかになったというのもあるかな)、今やっぱり日本で一番熱い「知識人」は芸人だ。芸人がいろいろやることで諸世界に新たな一撃を与えていくことができると改めて思った。役者や識者や専門家にはできないことが彼らにはできる。

思えばたけしが自分でもそう言い続けてきていたように必死で「逃げ道」を作り探して行き着いた役者歌手そして終に映画監督、という見事な広がり。笑いの天才さんまはその天才ゆえにひたすら笑いの軸から微動だにせず・・・其処に最近限界を感じてる私なんだけど・・・さんまだって役者となればたけしに並んで話題を振りまく人で、「心はなんたら気持ちは・・・」とかいうドラマでやはり「お笑いの逃げ道」を切り開いていた(今はほとんどないのが残念)。鶴ちゃんが正月深夜のドラマで当時としては画期的な「お笑いがトレンディ役者として活躍する」シュールな姿を演じていたのも思い出される。そういうことができない芸人は見事に消えていった・・・「司会者」という世界を得られた職人的芸人は別として。

あれ、芸人論なんて語る気はなかったのに。ま、いいや。ギリアムは凄い人ですよ。そしてとてつもなく、優しい。絶望や恐怖で終わらせるか、予定調和的なハッピーエンドで終わらせるかしかない商業的映画界において、奇跡的に「後ろで長いベロを出してみせる」ことに成功している人の一人だ。ベロを出して孫に笑ってみせるのだ。突き刺すような作品も作るけど、バロンと12モンキーズ、そして私が初日に見て初めて名を知った「バンデットQ」の優しさはたぶん、論理で説明できるものではない。ほんとに見た後、優しさに涙の出る作品だ。

いつかまた「本気の作品」が見られることを期待しながら、対談をもう3回繰り返し見てしまいました。

しかし宮崎駿の名が出るとは思わなかったな。どうもあの変な精霊とかが理解できない、思いもよらないというのが寧ろこの人の碧眼を示している。そここそがたぶん、宮崎作品を辛うじて「子供漫画映画」から救っているキモなのだ。生ぬるい筋なんかじゃない。ああいう「アート」なのだ。ハリウッドに日本の漫画好きが多いとは聞くが、思えばサムライキャットなんかもギリアムに近いとこから出てきてたんだよな、ギリアムは日本マンガマニアの草分けでもあるのですな。まとまりなくなってきたので終わり。

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