Monday, December 26, 2005

優雅で感傷的な輪舞

中沢新一さんの番組、いいなあ。なんかほのぼのとして、でも死の気配がして、なつかしい生活の記憶が東京の底から浮かび上がって、空にぽかん、とうかぶむら雲のように、ほっこりと残る。 青空のした、かつてススキの原野だったアスファルトの大地に立って、綿菓子の雲を見上げながら立ち止まる。子雀が二羽とんできて、油臭い地面を跳ねまわっている。まるで輪舞のようだ。かたはらを車が迷惑そうに徐行する。雀がひょいと脇にそれてまた輪舞を始める。 なぜかよくわからない涙が溢れて止まらない。なんて平和な日なんだろう。風は冷たくてもひのひかりはやさしく体を包み、まるでここがススキが原に戻ったような、雀たちの無邪気に戯れるさまに、この地霊の懐かしい記憶がうつってしまったかのように、静かに涙を流した。 枯れ野を懐かしむ大地の上で、ぼくは新しい記憶を刻みこむ。この記憶を、遠い未来にまた懐かしむ人が現れるのだろう。 僕はすこし嬉しくなり、下手なステップを踏むと、そそくさと職場へ戻った。

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